吃音者が辛いと感じる日常における場面

不特定多数の人を前に話す際、取引先や上司のいる場でプレゼンテーションを行う際など、人目の多さや責任の重さはそれだけ大きな不安と緊張を生じさせます。

思うように話せなかったら、と考えるだけでも苦痛となります。また、逃げ場のなさもプレッシャーを与えます。

電話での一対一の、それも音声だけのコミュニケーションや、就職活動の個人面接なども、多くの吃音者にとってつらい場面と言えるでしょう。

吃音で一番辛いのは難発吃音

吃音の症状には、最初の音を伸ばす「伸発」、同じ音や言葉を繰り返す「連発」のほか、最初から言葉に詰まり話し始めることのできない「難発(ブロッキング)」があります。

吃音で最もつらいのは、この難発であると言われています。その理由としては、何よりも「話せない」ことがまず挙げられます。

一つ目の言葉が出ないため、会話の流れに合わせることができないだけでなく、単に「黙っている」と誤解されてしまうこともあります。

つまり、言いたいことがあっても内容を伝えることができない上に、話そうとしていること自体、理解してもらえないこともあるのです。

吃音の負のスパイラル「予期不安と自己嫌悪」

「また吃ってしまったらどうしよう」「笑われたら、ばかにされたら」など、吃る・話す以前から生じている不安を「予期不安」と言います。

これにより緊張が高まり、余計に話しづらくなったり、声を出しにくくなったりすることもあるようです。

そして実際に吃音の症状が出ると、「またうまく話せなかった」「やっぱり自分は‥‥」と繰り返し自己嫌悪に陥りストレスが蓄積されると、精神的な疲弊、消耗も深まるばかりです。

やがて、人前で話すことだけでなく、人と会うことすら避けたいと思うようになってしまうことも、少なくありません。

大人のケース

吃音者が大人の場合、仕事をする上で逃れようのない場面は多くあります。営業や接客、職場の内外への電話、朝礼や会議での発言、プレゼンテーション、就職活動での面接などが該当します。

仕事以外では、結婚式や歓送迎会におけるスピーチもその一つでしょう。多くの人の前で「失敗するかも」「恥をかくかも」という苦しみや恐怖が共通しています。

子どものケース

子どもの場合は、やはり「学校」が難関となりがちです。周囲の児童・生徒によるからかい、いじめだけでなく、理解のない教師や保護者が当事者を追い詰めてしまうことも少なくありません。

悪意はなくとも、知識が十分でない場合に陥りやすいケースです。

たとえば、話そうとして連発が出ている子どもに対して、「落ち着きなさい」という指摘は正しくありません。

本人は慌てているわけではないからです。急がせたり、話を先取りしたりせず、ゆったりと待ってあげることが重要です。

授業で指名された際にも、連発や伸発が出ていると時間稼ぎをしていると思われたり、難発により言葉に詰まっていると解らなくて黙りこんでいると捉えられてしまったりします。即断せずに見極め、見守りましょう。

また、本人や周囲の子どもから「なぜ吃るの?」と問われた時には、腫れ物に触れるように濁したり隠したりせずに、しっかりと説明し、理解を深めることが大切です。

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