吃音治療で信頼のおける病院

吃音は治療方法が確立しているとは言えません。しかしながら、有効とされている療法やトレーニングは存在します。

まずは言語療法の専門家である言語聴覚士のいる施設へ相談しましょう。大学病院を始めとした医療機関のリハビリテーション科、耳鼻咽喉科、神経内科などで受けられることが多いです。

また、吃音治療を専門とした民間の研究所もあります。

吃音治療はかつて多くの誤解や偏見にさらされ、根拠の乏しいトレーニングや治療機器も横行していました。信頼のおける専門機関を吟味することも重要でしょう。

▪︎国立障害者リハビリテーションセンター

西武新宿線・西武池袋線の「航空公園駅」または「新所沢駅」から徒歩15分ほどのところにある機関です。病院、自立支援局、研究所を含む6部門があります。

吃音の治療・訓練において、幼児にも成人にも対応しています。

幼児の場合、聴力検査と耳鼻科医による診察、言語聴覚士による言語評価、各結果とその後の方針の説明を経て、症状に応じた訓練へと移ります。

成人の場合は耳鼻科医の診察と言語評価から始まります。いずれも、初診にあたっては予約が必要です。

▪︎北里大学病院

小田急線「相模大野駅」または「相模原駅」からバスで20分ほどのところにある北里大学東病院には、吃音も治療の対象に含まれているリハビリテーション部があります。

医師、言語聴覚士だけでなく、理学療法士、作業療法士、看護師、ソーシャルワーカーが連携を取り、診察と訓練だけでなく社会復帰へ向けての支援も行っています。

また、セカンドオピニオンや他院を退院後の方にも対応しています。

医師による診察後、言語聴覚士の訓練を受けられます。他院の紹介状がない場合、選定療養費3,240円がかかります。

▪︎杉吃音治療院

JR総武線、都営大江戸線「両国駅」より徒歩4分ほどのところにある吃音専門の治療院です。独自の理論と実践的方法論をもとにした訓練を行っています。

吃音の捉え方を変えることで心理的な生きやすさを求めたり、個性として受け入れたりといった方向ではなく、あくまで「吃音の改善」「克服」を目指した「発声のコントロール」を掲げています。

発声に特化した訓練法はかつて日本国内で流行しましたが、現在はあまり行われていません。

望むような結果に結びつかなかったり、かえって悪化したりといった場合、本人の意志の強弱などの精神論にすり替える傾向が見られ、実績は認められるものの相性の良し悪しの大きな院と言えそうです。

「直すためには何でも試したい」という方にはよいのではないでしょうか。

▪︎その他

関西では大阪市総合医療センターに小児言語科という診療科があり、幼児の吃音を専門に取り扱っています。

言語聴覚士による訓練のほか、耳鼻咽喉科や神経内科と連携した治療も受けられます。ただ他院からの紹介状が必要な点、非常に混み合っており予約が取りづらい点などがネックです。

吃音を専門としている機関はとても少なく、あったとしても幼児を対象としているところがほとんどです。成人してからの吃音治療はハードルが高いことは全国的な課題となっています。

吃音者になりやすい人の特徴

吃音は発達性吃音と獲得性吃音の2種類に分類されます。

幼児期に起こることがほとんどである発達性吃音は、子ども自身の体質や発達の影響、環境的な問題などが絡み合い発症すると言われています。

そして青年期以降に現れやすい獲得性吃音は神経や脳の疾患、損傷から起こるものと、心因性のものに分かれます。

後者は精神的なストレスや心身の傷ついた体験から、吃音を発症するケースです。また、発達性吃音が成長とともに改善されず、固定したまま残るケースもあります。

こちらは「自分は流暢に話せない」と気づき、予期不安を重ねるうち随伴行動を伴うなど複雑化、深刻化してしまうこともあるようです。

従って、もとより感受性の高い人や繊細で傷つきやすい人、そうでなくとも傷つく経験を重ねてしまったがためにネガティヴになりやすい人は、吃音を発症したり、症状が深刻化したりすることが比較的多いと言えるでしょう。

▪︎心当たりありませんか?

例えば、次のような素養を持つ人は吃音が出やすいという説があります。

一つ一つの物事や人に対して目配りがきき、思慮深く、想像力に長けている。他人の気持ちをよく察し、嫌な思いをしている人を見かけると落ち着かなかったり、自分のことのように苦痛を感じたりする。

他人から評価されたい、好かれたいと願う気持ちが強い反面、嫌われることを恐れることもある。成長意欲が強く、常に完璧でありたいと考える傾向がある、などです。

視野の広さに対して若干主観的な面があり、他の人にとっては一見些細なことでも熟考したり思い詰めたりしがちです。また、敏感さゆえに騒がしい環境が苦手ということも多いようです。

▪︎吃音になる人は優秀な人

前述のような特徴は、弱さやもろさではなく大きな長所とも言えます。感受性の高さは、他者への優しさや豊かな表現力を生み出します。

理想の高さ、成長意欲の強さは大きな志やリーダーシップへと繋がり、想像力はその実現を助けるでしょう。

同じ特徴であっても、どう捉えるかが重要です。心因性の獲得性吃音に限らず、吃音を持つ人にとって「失敗したらどうしよう」という不安や緊張、「からかわれたら、笑われたら」という恐怖は根の深い問題です。

自信のなさは吃音そのものを悪化させるだけでなく、他の症状や疾患へ繋がることもあるのです。吃音はかつてイギリスで、紳士の条件の一つになったこともあるそうです。

吃音を持つ当人も保護者を始めとする周囲の人々も、吃音を後ろ向きに捉えず、肯定感を高めていくことも大切です。

▪︎事実、吃音者に有名人・芸能人は多い

伝説の女優マリリン・モンローや、ハリウッド俳優のブルース・ウィリス、世界的なゴルファーのタイガー・ウッズなど、吃音を持ったり子どもの頃に持っていた有名人はたくさんいます。

日本でも、ノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎、芥川賞作家の小島信夫や村田喜代子、元内閣総理大臣の田中角栄、元オリンピック選手の清水宏保など数多く挙げられます。

また、アナウンサーや落語家、俳優など「話す」ことを仕事の大部分とする吃音者も少なくありません。

52歳でメジャーデビューした歌手スキャットマン・ジョンは、子どもの頃から吃音に悩まされてきました。症状を改善させようとさまざまな努力を積み重ねましたが、思うようには治りませんでした。

そこで彼は吃音を活かした独自の歌唱法(スキャット)を生み出したのです。アルバム『スキャットマンズ ワールド』は、日本を含め世界各国で600万枚以上を売り上げ、各チャートにおいて堂々の一位を飾りました。

音楽以外でも吃音者のための「スキャットマン基金」を設立するなど、多くの吃音者に勇気と支援を与えたと言えるでしょう。

吃音者が辛いと感じる日常における場面

不特定多数の人を前に話す際、取引先や上司のいる場でプレゼンテーションを行う際など、人目の多さや責任の重さはそれだけ大きな不安と緊張を生じさせます。

思うように話せなかったら、と考えるだけでも苦痛となります。また、逃げ場のなさもプレッシャーを与えます。

電話での一対一の、それも音声だけのコミュニケーションや、就職活動の個人面接なども、多くの吃音者にとってつらい場面と言えるでしょう。

吃音で一番辛いのは難発吃音

吃音の症状には、最初の音を伸ばす「伸発」、同じ音や言葉を繰り返す「連発」のほか、最初から言葉に詰まり話し始めることのできない「難発(ブロッキング)」があります。

吃音で最もつらいのは、この難発であると言われています。その理由としては、何よりも「話せない」ことがまず挙げられます。

一つ目の言葉が出ないため、会話の流れに合わせることができないだけでなく、単に「黙っている」と誤解されてしまうこともあります。

つまり、言いたいことがあっても内容を伝えることができない上に、話そうとしていること自体、理解してもらえないこともあるのです。

吃音の負のスパイラル「予期不安と自己嫌悪」

「また吃ってしまったらどうしよう」「笑われたら、ばかにされたら」など、吃る・話す以前から生じている不安を「予期不安」と言います。

これにより緊張が高まり、余計に話しづらくなったり、声を出しにくくなったりすることもあるようです。

そして実際に吃音の症状が出ると、「またうまく話せなかった」「やっぱり自分は‥‥」と繰り返し自己嫌悪に陥りストレスが蓄積されると、精神的な疲弊、消耗も深まるばかりです。

やがて、人前で話すことだけでなく、人と会うことすら避けたいと思うようになってしまうことも、少なくありません。

大人のケース

吃音者が大人の場合、仕事をする上で逃れようのない場面は多くあります。営業や接客、職場の内外への電話、朝礼や会議での発言、プレゼンテーション、就職活動での面接などが該当します。

仕事以外では、結婚式や歓送迎会におけるスピーチもその一つでしょう。多くの人の前で「失敗するかも」「恥をかくかも」という苦しみや恐怖が共通しています。

子どものケース

子どもの場合は、やはり「学校」が難関となりがちです。周囲の児童・生徒によるからかい、いじめだけでなく、理解のない教師や保護者が当事者を追い詰めてしまうことも少なくありません。

悪意はなくとも、知識が十分でない場合に陥りやすいケースです。

たとえば、話そうとして連発が出ている子どもに対して、「落ち着きなさい」という指摘は正しくありません。

本人は慌てているわけではないからです。急がせたり、話を先取りしたりせず、ゆったりと待ってあげることが重要です。

授業で指名された際にも、連発や伸発が出ていると時間稼ぎをしていると思われたり、難発により言葉に詰まっていると解らなくて黙りこんでいると捉えられてしまったりします。即断せずに見極め、見守りましょう。

また、本人や周囲の子どもから「なぜ吃るの?」と問われた時には、腫れ物に触れるように濁したり隠したりせずに、しっかりと説明し、理解を深めることが大切です。

吃音と似ている「場面緘黙症」、「失語症」、併発しやすいSAD(社交不安障害)、鬱とは

吃音と症状の一部が似通うために混同されがちなものとして、場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)、失語症が挙げられます。いずれも流暢に「話す」ことができないという点が共通しています。

また、吃音を持っている人が併発しやすいものには、SAD(社交不安障害)と鬱があります。こちらは吃音そのものというよりも、「うまく話すことができない」というストレスや「失敗したらどうしよう」といった不安、劣等感などが共通しています。

場面緘黙症とは

場面緘黙症とは、自宅で家族と過ごしていると滞りなく話すことができるにもかかわらず、ある特定の場面では話すことができなくなる(声が出なくなる)症状を言います。

選択性緘黙症と呼ぶこともありますが、当人が場面を選んで話したり黙ったりできるものではありません。言語の理解や発語する能力には問題はないとされ、発症する原因やきっかけ、発症率なども定かではありません。

これには、幼少期に発症することが多いものの、人見知りや引っ込み思案といった性格的な特徴と区別がつきにくいことも影響しています。性格的な問題と異なる点は、症状が明らかに強いまま長期にわたることです。多くの場面緘黙症は行動療法などにより改善するようですが、早期の治療が重要です。

失語症とは

失語症とは、主に脳出血や脳梗塞、脳腫瘍などの障害により脳の言語を司る部分が損傷し、以前のように話して表現することや聞いて理解すること、読み書きなどができなくなることです。

それらがはじめからできないのではなく、一度は獲得された言語が障害により表出できない状態です。発語するための唇や舌、口蓋の筋肉などに異常はありません。

失語症は、言語を理解していても発話や書字に大きな障害をもつ「運動性失語症」と、理解自体が損なわれている「感覚性失語症」の二つが代表的です。

その他、理解や発語も比較的できるものの言葉が出にくくなる「健忘性失語症」、いずれもほぼできなくなっている重症の「全失語症」があります。失語症はリハビリテーションにより回復を目指します。

それぞれの違い

まず症状として、場面緘黙症や失語症においては、初期の吃音によく見られる連発や伸発が起こりません。緘黙症は、話せるときは流暢に話せますし、話せない場面では沈黙します。失語症では発音の乱れが見られることもありますが、やはり吃音とは異なるものです。

発達性の吃音と場面緘黙症は幼少期に出やすく、獲得性の吃音と失語症は成人してから、特に失語症は中高年に多い障害です。吃音と緘黙症は原因が明らかでなく、失語症は原因も症状も幅広いため、専門家による診断と治療、リハビリテーション、サポートが不可欠と言えるでしょう。

SAD(社交不安障害)とは

SADは社交不安障害のほか、社会不安障害、社会恐怖などとも訳されます。人前や人の多くいる場面で、不安や緊張のためにするべきことができなくなってしまう、苦痛のあまりその場面を避けてしまう(実際には避けないこともあります)ことを言います。

人前で緊張するのはよくあることですが、SADの場合は生活に支障が出るほどの、極めて強い不安を感じます。また、SADでない人にとってはさして緊張するような状況でなくとも、不安にとらわれてしまうこともあります。人前で話せない、思ったことを発言できない、人の集まる場に行けないなどのほか、人目のあるところで食事や電話ができないといった例もあります。

治療法は、主に薬物治療と認知行動療法の二つですが、当人や周りの人が「性格の問題」と思い込み、治療の機会を逃しているケースが多くあります。

鬱とは

俗に「鬱(うつ)」と呼ばれる「うつ病」は、気分が落ち込みやすくなかなか戻らない、何をするにも億劫でやる気が起こらない、食欲がないなどの「抑うつ状態」が続く上に、慢性的な頭痛や不眠、疲労感などを伴うこともある症状のことです。

また、自己肯定感が持てず、自責心や劣等感が募り、仕事や日常生活を送ることが困難になる場合もあります。

昔に比べ「気の持ちようで治る」というような誤解は減りつつありますが、「こころの風邪」と呼ばれることもあるうつ病は、遺伝的要因・環境要因・身体的要因が複雑に絡み合って発症するもので、心因性とは限りません。

SAD、鬱、吃音の治す順番について

SADやうつ病による強い不安、緊張または自己否定や劣等感が、吃音を引き起こしたり悪化させたりするケースがあります。

そういった場合には、SADやうつ病を優先して治療しましょう。「吃音の治療」が精神的な負担となり、SADやうつ病を悪化させてしまっては元も子もありません。

結果的に起こっている吃音から対症療法的に治療するのではなく、要因となっている根本的な部分からケアしていきましょう。

幼児・子どもがどもりだしたらどうすればいい?

子どもの吃音に気づいたら、まずは親・家族が焦らず、理解を深めることを心がけましょう。

吃音は、一般的に正しく認知されているとは、まだまだ言えません。理解のないまま間違いを指摘したり言い直しをさせたりするうちに、症状を悪化させてしまうこともあります。

初期の対応としては、「自分は吃っている」と気づかせないよう、自然に接するのがよいようです。「うまく話せない」「他の人と違う」と悩み始めると、別の問題にも繋がりやすくなります。

幼少期の、いわゆる発達性吃音は、成長とともになくなっていくことがほとんどです。医療機関や発達相談などへ行っても「しばらく様子を見ましょう」と保留されるケースが少なくありません。

構え過ぎず、あたたかく見守ってあげましょう。あまりにも症状が顕著であったり、不安で落ち着かなかったりといった場合には、言語聴覚士のいる医療機関や自治体ごとの発達相談へ問い合わせてみるのもよいでしょう。

●親・家族の対応

「しつけや育て方が悪かったのでは」と、自分を責めないようにしましょう。吃音の原因は未だ解明されていないにもかかわらず、厳しいしつけや家族からの愛情不足など、心因性のものであるという誤解が蔓延しています。

ストレスや不安は、症状の悪化に繋がることはあり得ますが、それだけが原因とは言えません。子どもの吃音にも自分自身に対しても、できるだけおおらかな気持ちで向き合いましょう。

吃音のある子どもから「なぜ自分は吃ってしまうのか」などの質問があった際には、本人はすでに気づき悩んでいるわけですから、その話題を避けず、素直に答えることが大切です。同時に、吃音のある今のままでもいいのだと、しっかりと愛情を伝えてあげましょう。

子どもへの優しさや同情からくるものであっても、言葉が出ない場面において「会話の先取り」をすることは逆効果です。自分で話そうとしている意欲を奪ってしまいますし、頼ることに慣れさせてもよくありません。ゆったりとした雰囲気で、辛抱強く待ってあげることが重要です。

●幼稚園(保育園)や学校へのお願い

吃音は、未だ解明されていない部分も大きい障害ですから、保育や教育に携わる人だからと言って十分な知識を持っているとは限りません。他の児童や保護者なら尚のこと、誤解や先入観に悩まされることも少なくないようです。

可能であれば個人面談など教師(保育者)と対面で話せる機会に、難しければ書面や電話ででも、症状や対応について相談しておきましょう。

その際、からかわれたりいじめの標的にされたりしていないかよく見てほしい、発見した場合にはすぐに教えてほしい、症状の出やすい状況(人によって異なりますが、朗読や前に出ての発表など)は避けてあげてほしいなどの要望を伝えるだけでなく、具体的な対応の仕方まで相談しておけるとよいでしょう。

吃音の症状が出ても「落ち着いて」と言わなくてよいことは、意外と知られていません。精神的には落ち着いており、言葉が出ないだけなので、かえって苛立たせたり落ち込ませたりさせてしまうのです。

また、授業中に答えを求められる場面で言葉がつかえたり黙りこんだりしても、問題が分からないのではなく単に言葉が出ないということもあります。子どもの日頃の様子や望ましいフォローの仕方を、わかりやすく伝えましょう。

●友だちにからかわれた時

「どうして、ぼく(わたし)は話すときにつかえるの?」などの質問が子どもの口から出てきた場合には、友だちから同じ質問をされた、あるいはからかわれたからだと考えられます。

つまり、質問している子どもは原因を知りたかったり不安になったりしているだけでなく、そういった場面でどのように対処したらよいかを教えてほしいのです。そうした際には、「体が持っている癖なんだ」「大きくなったら治ることが多いんだよ」などと、友だちに説明できるようきちんと答えてあげましょう。また、悲しい、悔しい気持ちに寄り添うことも大切です。

「言葉が出ない」「一言目が出ない」大人がなりやすい難発吃音の特徴と原因について

難発性吃音とは、発語する際に最初の音が詰まってなかなか出てこない吃音のことで、「ブロック」とも呼ばれます。たとえば「おはようございます」と言おうとしても、「……!お、お……」のように、最初の語が詰まってしまうことが特徴です。

原因は脳の障害を始めとして諸説あり、これだと明言することはできません。きっかけもさまざまで、慢性的なストレスであったり、一つの失敗が引き金になったりします。

周囲から見れば、ほんの小さな躓きであることもあるようです。また、割合としては多くはないものの、幼少期からの吃音が発達とともに解消せずに固定化したものもあります。

●難発吃音の特徴

難発性吃音には、ある特定の場面においてや、特定の言葉に限って症状が現れるという特徴があります。

普段の会話では流暢に話せていても、電話での通話中、職場の朝礼、人前に出て話すなど特定のシチュエーションになった途端に、思うように言葉が出なくなってしまうということです。

特定の言葉とは、「あ」や「お」などが多く、例えば「ありがとうございます」や「お疲れ様です」、「お世話になっております」などと言う際に吃音が出やすいようです。また、自分の氏名や社名が言えないケースもあります。いずれも、自己嫌悪や自責に結びつきやすく、予期不安を引き起こしがちです。

●きっかけと原因について

発症するきっかけは、労働環境や人間関係など職場でのストレス、仕事上の失敗、各種ハラスメントなど多岐に渡ります。一つの事柄がきっかけになることもあれば、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることもあります。

原因は先述の通り諸説ありますが、一つは脳の障害だと言われています。吃音のある人とない人を比較すると、ある人はない人よりも発語時に右脳が過度に活動していることや、ドーパミンが過剰に分泌されていることなどが解っています。

また、「吃音」という言葉や症状を知り、自覚してしまったことによるものもあるという説もあります。「肩こり」を知った途端に自分の肩こりに気づく、と同じ原理です。

●難発吃音の問題点

子どもの吃音と大きく異なる問題点は、社会人になると、吃音の出やすい場面が予め分かっていたとしても、それを避けることがより難しくなっていることが挙げられます。

職場での朝礼や電話、大人数を前にしたプレゼンテーションのほか、結婚式でのスピーチなども含まれます。

そういった状況で吃音が出ると、たとえ他人から責められたり笑われたりすることがなかったとしても、「こんな簡単な言葉も言えないなんて」と自分を責め、プライドも傷ついてしまいがちです。こうしたことから、大人の吃音はうつやSADを併発しやすく、自殺企図者も多いというのが実情です。

一方、症状の出やすい場面や言葉をできるだけ回避するなど、吃音を「隠す」テクニックを身につけている場合も、隠れた吃音者として思い悩み、人知れず消耗を重ねているケースも少なくありません。世間一般において吃音に対する理解度が低く、誤解が多いことも根深い問題と言えるでしょう。

吃音が治らないと言われていたのはなぜ?

日本では長い間、吃音の原因は緊張など心因性のものであると誤解されてきました(緊張や不安は吃音を悪化させることはあっても、それだけで根本的な原因にはなり得ないというのが現代の定説です)。

そのため、治療や支援も医学的というよりも、精神論寄りの心理療法に重点が置かれてきました。かつて重度の吃音を持つ人の一部が、特殊な発声の訓練や講談に数十年かけて取り組み、結果として吃音が改善されたためにそれが民間療法として広まってしまったことも、吃音治療の遅れに拍車をかけました。

吃音は原因が単一でないことが多く包括的な治療、支援が重要であることは事実ですが、「吃音な(心因性だから)治らない」と主張される場合、理解に偏りがあります。

日本では間違った治療方法が定説となった

偏った民間療法の代表的なものとして、「花沢研究所」の矯正法が挙げられます。設立者である口腔外科医の花沢忠一郎氏は国内外を問わず数多くの吃音研究に触れ、日本初の成人向けの言語訓練法を考案しました。

日本における吃音矯正の第一人者と言えるでしょう。1956年より民間の研究所を開き、独自のトレーニングを推奨してきました。具体的には、心構え(胸を張り相手の目を見る、吃音の悩みを人に打ち明けるなど)、腹式呼吸による呼吸法、自己暗示、柔軟体操、発音や朗読、発声の練習などが詳しく設定されています。

これは四半世紀以上前の矯正理論に基づいた矯正法であり、ある種の吃音に効果が認められたとしても汎用性の高い治療法とは言い難いものです。しかし当時、これにより一部の吃音者の症状が改善したことから、定説として広まってしまった経緯があります。

それにより日本は長らく吃音研究がなされていなかった

先述の定説が浸透してしまったため、日本では医学的見地からの吃音の研究、治療が長く見過ごされてきました。心理療法は一部の吃音者、一部の症状には有効な場合もありますが根拠に乏しく、特殊な経験談として留めておくべき事柄でしょう。

吃音は日本国内において、基本的に、医療機関で健康保険適用での受診が可能な「吃音症」という疾病に分類されています。しかし条件がやや限定的なため、包括的な治療の全体を健康保険適用内で行うことは難しいというのが現状です。2000年前後から米国などでは多角的な理論、治療法を組み合わせた統合的なアプローチが提唱されています。

また、吃音を伴う別の症状の治療から、間接的に吃音が改善されるケースもあることが認められ始めました。日本でも研究のみならず、制度の改善や正しい知識の周知が求められています。

さらに吃音治療の専門家「言語聴覚士」も不足している

言語聴覚士とは、国家資格の必要な、リハビリテーションを専門とした職の一つです。言語や音声、聴覚の障害に対し、各種検査を通じて症状を把握し、訓練を行います。主に耳鼻咽喉科や神経内科、リハビリテーション科などに在籍していますが、未だ不足しており、どこでも治療を受けられるという状況ではありません。

また、言語聴覚士は「言語指導」のプロフェッショナルですが、幅広く扱っている症状の一つに吃音があるという位置づけであり、吃音の治療だけを行なっているわけではありません。言語聴覚士そのものの数が足りていない現状ですが、さらに言語聴覚士による吃音治療の発展も今後の課題と言えるでしょう。

薬物療法と言語聴覚フィードバックの問題点

吃音の薬物療法には、主に抗うつ剤や抗精神病薬などが用いられています。薬物療法の問題としては、まず科学的根拠が十分とは言えないことが挙げられます。

理論上は有効と考えられるものでも、そもそも吃音の原因自体が千差万別であることから、人や場面によって効くこともあるし効かないこともある、という程度だとも言えるのです。そして、それぞれの薬の副作用や依存性の心配もあります。

言語聴覚フィードバックの問題も、いくつかあります。言語聴覚フィードバックは自分の声を聞きながら話すため、始めの言葉を出すことが困難な難発性吃音の方には効果が期待できません。それから、一方的に話すことのできる場面では有効ですが、言葉をやりとりする会話の状態では活用が難しいのです。また、機械を常に装着していなければなりません。

薬物療法にも言語聴覚フィードバックにも共通することとして、日本国内では手に入りづらかったり、高価になってしまったりすることも問題と言えるでしょう。

薬物療法の種類

吃音で処方される薬の種類としては、次のものが多いようです。抗うつ剤である「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」。商品名としてはパキシル、ルボックス、ジェイゾロフトなどがあります。抗不安薬・精神安定剤ではデパス、メイラックスが代表的です。βブロッカー(ベータブロッカー)という薬では、インデラル、テノーミンなどがあります。

しかしながら、いずれも吃音専用の薬というわけではありません。現状では、「吃音にはこの薬」という明確なガイドラインがないのです。それぞれの医師の判断に応じ、緊張や不安、興奮などを緩めるための薬を処方されているに過ぎません。そのため、症状を緩和することはあれど、吃音の根治に結びつくとは言えません。

SSRIの副作用と問題点

「SSRI」は重篤な副作用はほぼないと言える安全性の高い薬ですが、起こりやすい症状として次のものがあります。

まず、吐き気、嘔吐。時には下痢を伴います。SSRIの副作用は消化管に出やすい傾向があるのです。症状が重い場合には、胃薬の併用や減薬、変薬により対処します。

次に、眠気と不眠です。どの程度出るか、どちらが強く出るかは個人差があります。そしてめまいやふらつき、頭痛、口の渇き、便秘(尿が出づらくなることも)などもしばしば見られるほか、性欲の低下や性機能障害、焦燥感やイライラ、程度は低めですが体重増加、不整脈などが起こることもあります。

問題点は、主に飲み始めの時期に上記のような副作用が見られることです。不安感や強迫観念を和らげ吃音を改善するはずが、睡眠不足や体調不良などで追い詰められてしまっては本末転倒でしょう。しかし、いずれも服薬を継続し、体が薬に慣れるとともに落ち着くことが多いので、焦らずに主治医と相談しながら調節していくことが重要です。

抗不安薬・精神安定剤の副作用と問題点

抗不安薬の代表的なものにデパスがあります。デパスは不安を和らげるほか、筋肉の緊張を緩める働きもあり、心身をリラックスさせてくれます。

その副作用として、眠気や倦怠感を感じる、めまいやふらつきを起こす、物忘れが激しくなることなどがあります。集中力の必要な作業や運動はできる限り避けたほうがよいでしょう。

転倒しやすくなるため、筋力の弱い高齢者の方などは特に注意が必要です。また、依存性の高さも問題点のひとつでしょう。仮に吃音が軽減されても、服薬をし続けることにはこのようなリスクが常に伴います。

βブロッカーの副作用と問題点

βブロッカーは、心筋収縮力を低下させ心拍数を減らし、血圧も下げる作用があります。日本では心筋梗塞や高血圧、パニック障害などに処方されることの多い薬です。

心拍数を抑えるため、副作用として低血圧、倦怠感、体の冷えなどがあるようです。不眠や強い吐き気といったものも挙げられるため、吃音の改善が見られたとしても、長期にわたって服薬を続けることは難しいと言えそうです。
また、心機能に疾患のある場合など、処方できないことがあります。

言語聴覚器の種類

「DAF」は「Delayed Auditory Feedback」の略で、「遅延聴覚フィードバック」という機械と治療を示す言葉です。

DAFでは、発話するユーザーの声を、マイクとヘッドホンを通してユーザー自身の耳へ届けます。その際、少し遅らせた音声を送ることで、吃音の改善に有効とされる「二人読み効果」を擬似的に作り出すのです。「FAF」というものもあります。

こちらは「周波数変換フィードバック」という意味で、声のピッチを変えることで音の高低も変わり、自分自身のものでないような声が聞こえる仕組みになっています。
また、「DSA(Digital Speech Aid)」=「吃音抑制訓練器装置」という機械もあります。

言語聴覚フィードバック法の問題点

最大の問題点は、機械を装着している間しか効果が得られないことです。職場や冠婚葬祭などの場面でもヘッドホンとマイクを着けている必要があるというのは、想像以上にハードルが高いようです。この装着が高価であることや、日本国内では簡単に買えないことも、使いづらい理由と言えるでしょう。

また、最初の言葉を発することのできない難発性吃音の場合「フィードバック」が行えず、効果がありません。話し始められた後も、常に自分の声を聴きながら話すため、話し方が遅くなったり、抑揚のないやや不自然な発声になったりしてしまいます。

相手の話に集中しづらいとも言われています。その影響もあり、スピーチや文章を読み上げる際には効果を発揮しやすいのですが、日常的な会話の場面ではなかなか難しいようです。

吃音の治療方法ってどんなのがあるの?

吃音にはさまざまな治療がありますが、「これさえ行えば誰でも必ず治る」という万能な方法はありません。

身体的なトレーニング、話し方の工夫、脳への働きかけ、心理的なサポート、他者とのコミュニケーションなど、複数面からの包括的な治療が望ましいとされています。具体的には後述しますが、いずれも短期間で改善させるのは難しいため、焦らずにじっくりと取り組むことが大切です。

また、まずは吃音について正しい知識を持ち、理解を深めることも重要でしょう。知らずにいる、あるいは誤解しているために、悩みやストレス、不安を過度に抱えこんでしまうケースも少なくありません。

発語トレーニング

昔から吃音治療には「腹式呼吸」と言われてきましたが、同時に、その効果を疑う声も挙がり続けています。人によっては「腹式呼吸をしながら話さなければ」という意識が緊張を上乗せし、吃音が悪化することもあるようです。

一方で、いきむ動作で呼吸が止まり、筋肉が緊張する「バルサルバ反射」が吃音を引き起こしているタイプの方や、不安で呼吸が浅くなりがちな方には、腹式呼吸は有効であると考えられています。

発声練習にも注意が必要です。闇雲な音読練習で発語への緊張を高めてしまったり、苦手意識を持ってしまったりしては逆効果です。言語聴覚士による治療でよく用いられる「SOV(Soft On Voice)法」では、ゆったりとやわらかく、単語の最初の母音を少し伸ばしながら発声します。

「ぉーーはよう」「こぉーーんにちは」など、強引に絞り出すように話すのではなく、リラックスして無理なく発声できるようにするものです。
マウスピースによる矯正は、舌の位置の調節や筋力不足のトレーニングなどを名目としていましたが根拠に乏しく、現在はあまり行われていないようです。

言語聴覚フィードバック

吃音は、一人きりで話すよりも、他の誰かや大勢の人と声を合わせて話すほうが出づらいということがよくあります。「二人読み効果」とも言います。これを利用した機器と治療方法が「DAF(Delayed Auditory Feedback)」=「遅延聴覚フィードバック」です。

自分の発した声がマイクとイヤホンを通じて自分の耳に届くもので、複数人で話している状況に近づけることができます。難発性吃音の方や「会話」の場面では効果が認められないこと、話し方のテンポが遅れること、装着していないと効果が得られないこと、機器が高価なことや目立つことなど、欠点もあります。しかし緊張の緩和などにより、吃音が改善されることもあるようです。

「FAF(周波数変換フィードバック)」はフィードバックする自分の声のピッチを上げた装置です。現在、日本国内では販売されていません。また、「DAF」とほぼ同様の欠点があるそうです。今はスマートフォンのアプリやインターネットで体験できますので、試してみるのもよいかもしれません。

バルサルバ反射抑制法

呼吸を止めて力を入れる動作により、心拍数が上がり筋肉は緊張し、通常よりも筋力を発揮できる生理現象を「バルサルバ効果」と言います。

「バルサルバ反射」とは、その効果の表れる筋緊張が、意図していないにもかかわらず反射的に、それも頻繁に起こる場合を指します。胸部や腹部、咽頭、唇や顎の筋緊張も高めることから、一部の吃音者の、吃音の原因になっているという説があります。

「バルサルバ反射抑制法」とは、腹圧を上げて副交感神経の働きを高め、緊張をほぐすことで吃音を緩和させるという訓練方法です。ただし、反射的に起こってしまう緊張や硬直を緩めることは簡単ではないようです。

薬物治療

吃音の薬物治療においては、抗うつ剤である「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」やドーパミン拮抗薬などを使用することが多いようです。

吃音の原因の一つに、脳の代謝物質であるドーパミン、セロトニンという神経伝達物質の分泌量が不安定になることが挙げられます。吃音の症状が表れているとき、脳はドーパミンを過剰に分泌しているのだそうです。

ドーパミンが増え過ぎると脳は興奮状態となり、吃音の症状も悪化しやすくなります。それに歯止めをかけるのはセロトニンの役割ですが、ストレスがかかるとセロトニンの分泌量は減少してしまうのです。「SSRI」にはセロトニンの分泌量を正常に近づける働きが、ドーパミン拮抗薬にはドーパミンの作用を弱める働きがあることから、治療に用いられています。

セラピーや催眠療法

セラピー、催眠療法とは、人の潜在意識へとアプローチし治療を目指す方法です。セラピストや催眠療法士のカウンセリングなどにより、緊張や予期不安を和らげ、症状を改善させるそうです。

「吃らないように話さなくては」という意識に囚われてしまったり、人と会うことにすら恐怖を覚えたり、吃音をからかわれたなど内面に傷を負っていたりする場合、癒やされ、前向きな気持ちになれるようです。また、「吃音があってもいい」と、吃音の症状ごと自分自身を受け入れることで焦りがなくなり、生きやすくなるというケースもあるようです。

マインドフルネス

近年、アメリカでの流行がきっかけとなり、「マインドフルネス」によって吃音の改善を期待できると話題になっています。マインドフルネスとは、その人固有の思考の癖(「認知の歪み」)に気づき、整えようとする瞑想法です。自分自身の心や体の動きを客観的に認識することで、予期不安や緊張を軽減したり、それによる吃音や随伴行動を改善したりできると言われています。

瞑想は呼吸を重視します。マインドフルネスにおいても、鼻呼吸での呼吸の練習法が勧められています。吃音の出やすい場面を前にしても「吃ったらどうしよう」という不安に集中するのではなく、自分がどのように呼吸し、思考し、筋肉を動かしているかを自ら観察することで、状態を変えていけるそうです。

吃音とは?(原因と症状、随伴行動について)

吃音とは、発語する始めの音や途中の音を繰り返したり(連発)、音を引き伸ばしたり(伸発)、詰まって言葉が出てこなかったり(難発)といった症状が明確にあるために、なめらかに話すことのできない言語障害の一種です。

発達性吃音と獲得性吃音に二分され、その9割は発達性です。発症率は人口の約5%にあたりますが、自然治癒などを経て定着する割合は約1%程度とされています。男女比では男性の割合が高いですが、幼少期はほぼ差がありません。

一般的に「吃音」と「どもり」はほぼ同義語として扱われてきましたが、近年「どもり」は差別用語であるとして、公の場での使用は減りつつあります。

原因とされているもの

原因は諸説ありますが、完全な解明はされていません。かつては舌が短かったり声帯に異常があったりすると吃音になると言われていましたが、身体器質的な異常は原因ではありません。

利き手の矯正や保護者による対応(特に、母親による厳しいしつけ等)も一時大きく取り上げられましたが、その後の研究により覆りました。また不安や緊張、仕事のストレスなどの精神疾患が引き起こすと思われることも多いのですが、心理的要因は「悪化」させることはあっても「原因」であるとは言えない、というのが現代の定説です。

吃音の原因は、本人のもつ素因的要因(体質、発達)や環境的要因などがあり、それらが複合的に作用していると考えられています。

症状としてはどんなものがある?

吃音の中核的な症状には、以下の三つが挙げられます。

まず、「ぼ、ぼ、ぼ、ぼく」のように同じ語音や音節を繰り返す症状を『連発』といいます。吃音の初期に表れやすい症状です。

次に、「ぼーーーくは」「わーーーたし」など、語音を引き伸ばす症状を『伸発』と呼びます。

三つ目は『難発(ブロッキング)』。「…、…、……わゎたし」と、詰まって言葉が出ない状態を示します。

吃音というと「連発」の症状がイメージされがちですが、これらを核とし、さらには随伴行動もあります。随伴行動とは、手や足でタイミングをとるようにを拍子をつけるように動かす(ばたつかせる、振る等)、目をこする、のけ反るというような動作で、吃音を避けるための二次的な行動が身についてしまったものです。

吃音のフシギ

理由は解明されていませんが、歌唱や朗読をするときや詩吟をする際には吃音の症状が出ない、という人が多くいます。一人で行うと出るけれど、誰かと一緒ならほぼ出ないというケースもあります。心を許せる人との会話では症状が出ないものの、不特定多数の前では出るという人と、逆に、親しい人の前のほうが症状が重くなるという人もいます。

また、男性の圧倒的な発生率の高さも、フシギの一つです。「男性のほうが社会的な責任や期待が重圧になりやすい」などと語られることも多いのですが、どのような文化のどの国でも、男女比は同じです。
吃音はまだまだ、わからないことばかりなのです。

吃音かなと思ったら

もし、ご自身が「吃音かな」と感じるような言語障害や随伴行動があるのであれば、レコーダーやカメラなどで話している様子を録音、録画してみるのもよいのではないでしょうか。

ご自身で思うほど、症状は表れていないかもしれません。苦手な言葉がある、話すことに不安を覚える(予期不安がある)といった場合には、躊躇せずに吃音を専門とした病院を受診しましょう。主に耳鼻咽喉科やリハビリテーション科にあります。

お子さまの吃音が心配なときには、地域の保健センターなどの窓口へ行ってみるのもよいでしょう。言語聴覚士による相談先や、小学校にある「ことば(ときこえ)の教室」を紹介してもらえるはずです。「ことばの教室」は学齢期が原則ですが、幼児の受け入れに応じているところもあるようです。

いずれにせよ、一人で悩まず、専門機関へ相談しましょう。